古文眞寳
古文真宝
『古文真宝』(こぶんしんぽう)は、漢代から宋代までの古詩や文辞を収めた書物。宋末か元初の時期に成立したとされる。
黄堅の編と言われるが、編者の人となりや具体的な成立の経緯は伝わっていない。前集10巻に詩、後集10巻に文章を収録する。各時代の様々な文体の古詩や名文を収めており、簡便に学習することができたため、初学者必読の書とされて来た。
前集10巻:
勧学文、五言古風短篇、七言古風短篇、七言古風長篇、長短句、歌、行、吟、引、曲の詩型という分類され、掲載されている。
漢から南宋までの二百十八首を収めている。
後集10巻:
辭、賦、説、解、序、記、箴、銘、文、傳、辯、表、原、論、書の十七文体に分類されるものが掲載されている。
先秦から北宋まで六十七篇を収めている。
収載された作品を文体別にみると、詩歌では五言古風短篇の六十六篇が群を抜き、七言古風短篇の四十六篇、五言古風長篇の二十三篇がこれに次ぐ。五・七言短篇・長篇で全首の約七割を占めている。
時代別にみれば唐百五十篇、宋八十七篇がこれに次ぐ。唐と宋の作品が80%以上を占め、唐宋古文総集編というものとなっている。六朝時代の作品は、二十七篇で一割に満たない。
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作者の時代分布 |
時代 |
漢 |
三国 |
晋 |
六朝 |
唐 |
宋 |
南齊 |
先秦 |
劉宋 |
人数 |
7人 |
2人 |
5人 |
6人 |
32人 |
32人 |
2人 |
1人 |
1人 |
主な詩人
李白 42首 杜甫 34首
韓愈 27首 蘇軾 21首
陶潜 16首
日本での受容
日本には室町時代のはじめごろに伝来した。五山文学で著名な学僧たちの間に広まり、木版で刊行された(五山版)。
江戸時代には数多くの刊本が出されて広く読まれ、注釈書も多く著された。井原西鶴や松尾芭蕉も『古文真宝』に言及しており、簡便な教養書として広く読まれていたことが窺える。江戸時代中期以降(荻生徂徠らに批判され)、詩は『唐詩選』、文章では『文章軌範』が用いられるようになるが、『古文真宝』もなお明治時代に至るまで刊行され続け、廃れることはなかった。